初期のチェーンストラップを作る!

実はBBSの書き込みからこれは始まった。
このストラップを作る方法を教えてくれとの趣旨であった。
それまでは「いつか作ろう」程度にしか思っていなかったが、
ついついやってしまった。
やるからには徹底的に!それが私のポリシーである。

デビュー当時エディが使っていたストラップと言えばこれ!
何と言ってもカッコイイ!

ギターもさることながら小物まで自らアイデアを出す、その
想像力にはニクイものがある。

絶対外れないストラップ、未だにシャーラーのロックピン等
が販売されているが、1970年代にはヒートンとナスカンを
使った、まさに絶対に外れないストラップを編み出してい
たのである。

しかも使った材料は犬の首輪!

海外のフリークの間では、Dog Collar Strapと呼ばれて
いる事からも、その素性が判る。

ところが!

意外とこのストラップを正確に再現した例が少ない。
というか、全く忠実に再現した例は海外を含めて見た
事がない。
例えば、革のイボイボが4列のイイカゲンな物でもコピー
したと喜んでいる始末である。

と言う事で、
日本で手に入る材料を使い、できる限り忠実な再現を
して見たいと思う。


準 備
必要なもの
(最終的に必要と判断したもの)
@チェーン
A黒い革(表用と裏用の2枚)
Bスタッズ、57個
C各種ナスカン
D針金
E各種テープ
皮革部を作る
まずは皮革部の寸法。
CADで製図し、pdfにしました。

Dog Collar Strap.pdf

これを元に自作するのは構いませんが、他のサイトへのアップや、
作成した物を販売する事はやめて下さい。
革に直接ラインを引けないので、マスキングテープを張る。
全ての位置を書き込む。
これが革にイボイボを付ける
いわゆるスタッズ。
米国Standard社コニカルスポッツN(ニッケル)。
日本ではレザークラフトさんが輸入している。

ここの
φ12.5mmコニカルスポッツ30個入り #NC040500A 996円!

必要数は3列×19行=57個 なので、2袋必要。
スタッズの爪用穴はマイナスドライバーを金槌で叩けば空く。
ただ、ストラップ3本分の穴を空けたらドライバーの柄が割れたw

ちなみに、
スタッズは12.5mmだが、スタッズの間隔は13.5mm
に設定している。
こんな感じになる
マスキングテープは剥がされているが、すでにストラップの
外形を書いたラインは軽くカッターで切れ目を入れてあるので
問題ない

真ん中の列を嵌めて爪を裏で折り曲げる

写真上:表面、写真下:裏面
(以降、断りが無い限り上下の写真はこの並び)

少量なら苦にならないが、細いペンチで一旦曲げる等の
工夫がないと最後まで続かない。
ワタシは凄く小さいハンマーで加減しながら叩いて曲げる。
力加減にコツが要るのであまりお勧めしないし、
コツが文書で表現できないのでご勘弁を。

横の2列も嵌めていく。

真ん中2列の爪穴から、寝ている爪と立った爪がある事から、
二つの爪の兼用穴になっているのが判るだろうか?

この兼用穴も刺し込みにちょっとしたコツが要りますが
多分57個もやっている内に判ると思います。
3列のスタッズの爪を曲げた状態
上段の写真とは90度向きが違うので注意。
スタッズは黄丸の様に並んでいる。

ストラップ3本分を一気に嵌めました。
1列あたり19個×3列×3本=171個!

ちなみに100個入りを二つ使いました。
ここで忘れてはいけない。
今やっている作業はストラップを作っているのではなく
犬の首輪を作っている段階なのだ!

つまり、

折り曲げた爪がそのまま残っていたら、犬の毛が引っかかったり
怪我をするかもしれないから、必ず爪をカバーする必要がある。

エディのストラップの裏面資料は見たことは無いが、
犬の首輪である以上、カバーされていないはずが無いという事だ

そこで、裏に薄い皮を貼り付ける為に、皮革用ボンドを塗る。
薄くて柔らかい皮を貼る。
2枚の皮の縁を揃える為に貼り付けてから一気に切るので
ここでは広い状態で貼り付けられている。
両端のDリングを止める為のリベット穴をあける
ストラップ1本につき穴は8個。
穴あけ用のポンチを使った。
切り離して3本の首輪ができた。あくまで首輪だ!
革の側面にトコノールを塗布。
縁を黒くするのが目的。
こすると艶も出るらしい。
両端にD環を嵌める。
用意したD環は、ダイドーハントHA-151という品番。
線径3mm、内幅20mmの物。
128円であった。
ネック側はリベットで固定。
3mm棒×8mmがベストだが、こちらのホムセンには無かったので
10mmを切って使った。
アルミ棒なので意外と簡単に切り取れる。

ボディエンド側はM3のボルトで、左の写真で言うと下側だけ留める。
ワッシャーを嵌めて裏側から通し、表側でワッシャーを入れ、ナット
で留める
表側はこうなる。
ボディエンド側がなぜボルト固定なのか?
固定部からD環を通すループまでが、ネック側よりも短い。
という事は、
何らかの破損があってリベットが取れた+皮が破れた
(犬が原因か、ギターが原因かは全く不明w)
で、リベット用穴が使えなくなったので新たに穴を空けてボルトを
通して固定した。
エディがやりそうなテキトーな処置だから、大方合っていると思う。
裏面はこの通り。
リベットにワッシャーを入れたのは、外れにくくする為。
ボルトの空けなおした穴が2個の内の片方をフォローするなら
もっとオフセットするはずだが、色んな写真から推測すると
左の様にセンターに空けてあると思われる。

で、D環の直線部を真っ直ぐ受け止められないので
必然的にD環が斜めに、結果的に曲がったと思う。

首輪部の完成! 

 
首輪とチェーンを繋ぐ針金を作る 
首輪とチェーンを繋ぐ針金を作る。
エディはこれを手作りしているのでそれに則ろう。
用意したのは#12の針金。
おおよそ200mmでカットする。
最終的に40mm位余るけど、掴みが必要なので
この位が丁度良い
もうペンチで掴んで力で曲げるしかない。そりゃそーだ。

幅が35mm。この硬い針金を曲げるのに都合の良い寸法。
ペンチのサイズや握力の加減での曲げ易さ。
同様に、幅が15mm位になる
口が開いているのは、ここからチェーンやナスカンを通すため。

切り口が危ないので、必ずヤスリで処理をする事。

この金具はストラップ1本あたり4個用意する。
チェーンの準備
今回用意したのはNISSA K-104。これで300円。

切り売りをしている所があれば、候補として
●ニッサチェイン IM-132クローム 
●ニッサチェイン IM-34クローム
●柳瀬製作所 TCM-35

ネック側で13駒、エンド側で19駒の、合計32駒。
切り離しで無駄が出るので、35駒程度が必要量。
ネック側チェーンを作る
チェーンを13駒に切り出し、片方に曲げた針金を通す。
針金を曲げたところで書いた針金の切り口のヤスリかけも
こんな感じに仕上がってます。
写真は通している最中。
皮革部との結合で、ここに皮革のD環が通るので途中で止めた
方が楽。
皮革部と結合してしまっても良いです。
ナスカンも用意。
メーカー不明だがBK-591、もしくは
ハイロジック D226Zスナップ。

全長が81mm位の物。
ナスカンとチェーンを針金で結合する。

ネック側チェーンの完成

ボディエンド側のチェーンを作る
アミナスカンを用意したいのだが、なかなかズバリな物が無い。
一番近いのが
オーエッチ工業株式会社のSCN-05Bと品番が付けられた
セーフティコード。
腰に道具をぶら下げるための金具で、この大きな方を使う。
全長60mm程度の物。

このセーフティコードは798円。
チェーンを19駒でカットし、針金を使ってアミナスカンと繋ぐ。
繋いだ後、針金にビニールテープを巻く。
電気工事用の絶縁テープで丁度良い。
アミナスカンを付けた方から数えて14駒目の継ぎ目に、事前に作った針金
を使ってナスカンを繋ぐ。

ボディエンド側のチェーンが完成

最終組み立て
まずはネック側、
チェーンとD環を針金で結合する
エディのストラップはここに銀テープが巻かれている。
色々探してみたが、
ニトムズの防食テープ、幅50mmが丁度良いと思われる。

横浜の東急ハンズで調達。(ららぽーとの方ではない)
値段は失念。
こんな感じに巻きつける。
結構分厚いテープなので四角い感じになる。 
ボディエンド側はアミナスカンをD環に嵌めるだけ。
カンタン!
完成
本人の写真と比較


一番難関だったのはボディエンド側の再現。
写真を散々眺めてもどういう構造か理解できず、ずいぶんここの解明に時間をかけたが
色々な矛盾が解決できる方法が判った。実際に比較するとこんな感じになる。