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★内容は予告なく、逐次更新されます

レリックの基本的な考え
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世にレリックギターは山ほどある。が、仕上がりは千差万別。
基本的な部分を押さえなければ、一目で稚拙な、ただの「傷ギター」でしかない。
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二つの基本
〜傷が入っていればレリックと思っていないか?〜
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基本@:とにかく時間をかけて仕上げる

  もともと、30年も40年もかけて築いた歴史をシミュレーションする訳だ。
それを1時間やそこらで再現できるはずがない。
下記は明らかに時間をかけずにチャッチャと仕上げた実例だ。
なお、カドが立ったり問題があるので実例写真は控えさせていただくが
きっと街の楽器屋で該当するものを見かけた事があるはずだ
例1 全ての傷や打痕が同じ大きさ、同じ角度、同じ深さ、どうやら一つのツールで傷を付けている
30年間、同じプロセスで傷を付けられたら、それはそれで天才的だ。普通はあり得ないだろう
例2 傷が表面的で、塗装が欠けているのに木部は無傷??普通塗装が欠けたらボディも凹むでしょ?
例3 ボディにやたら傷があるくせに、ネックやパーツ等、他の部分がピカピカ
ボディがピカピカのくせにやたら傷がある例も。
確かに後からパーツを交換して綺麗な場合もある。が、それでいいのか?
例4 塗装やパーツに傷や黄ばみがあるくせに、そのパーツのカドや塗装の欠けた部分がエッジー
「昨日突然たくさん傷が付きました」、「昨日突然プラスチックが日焼けしました」と訴えていて、
傷やパーツに歴史が無い。当然それらにも【使用感】が必要だ。

 基本A:なぜダメージを受けたのか、その意味や理由を再現しなければならない

傷にはそれぞれ理由がある。

★★★ギターの取り扱いで区分した場合★★★
ギターを見ただけでそれは感じられると思う。だからレリックを入れる方向性を決め、トータルで再現
しなければならない。
例1のネックと例2のボディが組み合わさった様なレリックはあり得ないからだ。
例1 大切に扱ったのに仕方なく付いてしまったのか、
例2 扱いが適当で雑だったから付いたのか
例3 激しいピッキング等、プレイスタイルから付いてしまったのか
例4 身に着けた装飾品がガシガシ当たって付いてしまったのか(ジャズとメタルじゃ服装や装飾が違う)
★★★部位によって傷のつき方が違う★★★
これらすべてを事細かに考えないと、リアルさが欠けてしまうと思う。
例5 ウエストコンターはいわゆるバックル傷。じゃあ、傷の深さや方向や傷溝の断面形状は?
例6 ボディエッジの傷は、ほぼ全て打痕。尖ったものにぶつければ木部は鋭利に凹むし、机の角だったら・・・
この傷はギターへの愛情と傷の量や深さが反比例するかも
例7 指板は爪によって削られる。そのギターにあったプレースタイルを考えると、削れる弦とフレットはどこ?
ネック裏もそのポジションが当然塗装剥離する
例8 どんなに大事にしていてもヘッドはうっかりぶつけてしまう。ただ、その位置や方向はそれほど種類が無い
例9 ウェーザークラックは塗装と木部の伸縮率が違うために起こる。当然その入り方には意味がある。
シャーシャーとカッターで入れた様にならない。
例10 ピックガード周辺はピッキングスクラッチが起こる。アコギはトップが削れる例もある。
その傷は少なくとも10000回以上ピックでガリガリやられているはずだ。

結論
どこまでつきつめるべきか?
オーナーの立場に立つと、
ギターのコストも鑑みて妥協できるのであればそれはそれで良い。
買った時の状態を満足できれば良く、それ以上の事は言う必要は無い。
本来のレリックは、オーナーが時間と愛情をかけてギターに深みを与えていくものであり、
最初から付いている傷のレベルは問題では無いだから。

ただ、作り手には言いたい。
手をかけずに作ったくせに大げさな謳い文句や
稚拙なレリックで価値を変えるのはやめて欲しい。

所詮レリックは偽物なんだから

少しでも本物に近づける努力をし、少しでも満足して頂ける物を作らなければならない。
説得力のある物を作らなければ、お客様を満足させられないと思う。